ROCKの死後硬直

音楽、特にロックなやつ。テキトーに書いてます。

amazarashiが持つ言葉の力

 

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amazarashiとは、青森在住の秋田ひろむを中心としたロックバンドだ。

最近では、アニメ『東京喰種トーキョーグール√A』とのタイアップや『僕のヒーローアカデミア』とのタイアップ、ゲーム『NieR:Automata』とのコラボなど、耳にする機会が増えていると思う。

僕はamazarashiの楽曲を初めて聴いたとき、ボディーブローのようなジワジワと響く衝撃を感じた(実際にボディーブローを食らったことはないが)。

今回はそんな幕ノ内一歩的なamazarashiの魅力を書いていきたいと思う。

 

 

音楽における歌詞の重要性

 

 

僕は音楽を聴くとき歌詞に注目することは多くない。歌詞なんて飾りです、偉い人にはそれがわからんのです、と思っていた時期もある。

 

そんな風に人それぞれ音楽を聴くときに重視するポイントがあるはずだ。

 

サビがポップで踊れるようなのが好き、ボーカルのハイトーンが好き、変態的なギターが好き、などなど。

 

その中で『歌詞が好き』だから聴いているという人がいると思う。

 

 ぺらっぺらのハムのような薄っぺらいポジティブラブソングをiPhoneで純正イヤホン付けて聴いている、彼氏に会いたいときに会えないような奴らにありがちな事なのだが、amazarashiを知る以前の私には理解できなかった。(そういう人をディスってるわけではないよ。いや、本当に。)

 

歌詞が好きなら曲聞かないで歌詞だけ見てればいいじゃん。つーか詩人の詩集でいいんじゃないの!? 

テキストデータだけなら、もうiPhoneの容量に頭を悩ませることもなくなるだろう。SDカード挿せるってステキ……。

 

そんな風に思っていたのだが、amazarashiに出合い、言葉の力というものを知るのである。

 

 

い歌詞とは 

 

 

そもそも、良い歌詞とはなにか。

 

僕は、

 

「正負どちらにせよ感情を動かし、長く心に残るもの」

 

と定義する。

簡単に言うと、印象に残ればそれは優れた歌詞なのではないかと。(そういう意味ではやはり、西野さんの歌詞も良い歌詞というわけである……。)

そしてamazarashiの歌詞は比較的、気持ちが暗くなるものが多い。例えば、

 

バイトの面接ばっくれて 雨雲眺めて不貞寝さ
ビールの空き缶で膨れた ゴミ袋で夢も潰れた
どっかで諦めていて 無表情に生きている
あまりに空っぽすぎて 途方に暮れちまうな
彼女が帰って来るまでに 言い訳を急いで思案する
何やってんだってしらけて どうでもいいやって居直る
そうだこの感じ 今まで何度もあった
大事なところで僕は 何度も逃げ出したんだ

≪もう一度≫

これ。 

この歌詞は2014年発売の夕日信仰ヒガシズムというアルバム曲から抜粋したもので、注目してほしいのは、怖いくらいのリアリティである。

 

僕はバイトの面接ばっくれたことも、ゴミ袋をビールの空き缶でいっぱいにしたこともないが、歌詞の登場人物の感情や、見える景色がはっきりとわかる。

ジメジメした薄暗いアパートの万年床の布団の上で膝を抱えている、そんな風景。丁寧に描写することにってその後の言葉にも説得力が出るんだと思う。

 

小説や映画などでは、感情移入や没入感が必要とされているが、歌詞でここまで感情移入させるのはamazarashiの歌詞の特徴だろう。とはいえ、曲調自体はジメジメしているわけではないので、内容ほど重たくなく、すんなり飲み込める。特にこの曲は聞きやすい部類に入るので初めて聴く分には良いかもしれない。

 

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amazarashiの歌詞のもう一つの特徴として、バンド名の由来でもある、「日常に降りかかる悲しみや苦しみを雨に例え、僕らは雨曝しだが“それでも”というところを歌っていきたい」というスタンスがある。僕らが“それでも”と思えるような、優しく、そして背中を押してくれる、そんな力強い歌を歌う。

 

上記のもう一度という曲も、一番最後のサビでは、

もう一度 もう一度 押しつぶされる度つぶやいて
ようやくたどり着いたこの場所に 正解 不正解もないよ
もう一度 もう一度 あの日離れていった希望に
ざまぁみろって言ってやる為に 何度も立ち上がるんだ もう一度

≪もう一度≫

 踏み出す勇気を与えてくれる曲になっている。

 

この曲は最高の応援歌である。

なにかに躓いたとき、理由なんてないけれど少し人生に疲れたとき、ひとり空しいとき、聴いてほしい。

この曲を聴いたところでそれらが解消するとは思えないが、それでも少しだけ雨が弱くなればいいな。きっとそういう願いの歌だ。(たぶん)

 

あ、さっき暗い気持ちになると言ったがあれは正しくない。

amazarashiはいつも救いを歌っているのだから。

 

 amazarashi の言葉の力

 

 

 長々と書いたが、結局のところ歌詞なんてものは、楽曲と共に飲み込んで初めて伝わるものだ。

 くそみたいな僕が、言葉を並べたところでamazarashiの魅力の一割も伝えることはできない。

amazarashiの言葉は、歌声と音と一緒になったとき100%の力を発揮する。だから、とりあえずPVを見てくれ。映像にも力の入っているアーティストだ。見て聴け。そうすれば、amazarashiのすごさが分かると思う。

 

歌詞だけ眺めてろとか詩集見ろだなんて言ってごめん。やっぱり歌詞が良いって素晴らしいっすね。