【Song】藍坊主 / ジムノペディック【レビュー】
歌詞が文学的だとか、詩的だとか、哲学的だとか、そういう歌詞に力を入れたバンドがある。
有名どころではスピッツやサカナクション、クリープハイプ、あとはamazarashi先生など。
若手で言えばさよならポエジーとか。
藍坊主もそんなバンドのひとつ。
自己を肯定する歌詞が特徴。あとは、物語性のあるものや、比喩がすごいものなど。今回の曲の歌詞は比喩がすごいやつ。
ま、歌詞としては明るいamazarashiと思っていただいても良いかもしれない。
表現の美しさ
曲としては、悲壮感のあるピアノのイントロから、激しくも切なさを感じるギター。曲の要所要所でギターの裏で鳴っているピアノが美しく、全体的に明るいのに泣ける雰囲気がある。
サビではVo.hozzyの透明感のある高音。ABメロではどこか閉塞感があったが、サビで開けた印象になる。この青春っぽさは藍坊主の魅力の一つだと思う
そして、美しい文学的な歌詞。
アルミホイールを噛んだ味がしそうな火曜日
ジムノペディはゆっくり水をかけてく
この世界がふやけてしまうその前に、
笑ってくれよ
そしたら僕は骨がバラバラになるくらい
風に吹かれて
もう一度君に会いにくるから
純文学です。比喩の化け物。印象派の絵画の様な表現。
アルミホイールを噛んだ味がしそうな火曜日……意味はよくわからないけど、とりあえず嫌な感じがするってことだろう。
母の作ったおにぎり食べるとたまになるやつ。鳥肌。
でもなんで、アルミでおにぎり包むんだろう。不思議。
目の前にある機械で調べる程でもないくらい不思議。
閑話休題。
ん? 骨がバラバラになるくらい風に吹かれて……?
骨がバラバラになるくらいの風? それは本当に風だろうか。風遁の術では? 風遁・螺旋手裏剣だろう、たぶん。
難解。僕の様な保育園卒の馬鹿にはただただ「深い……」としか言えない。
しかし、芸術とはそういうものだろう。凡人には理解し難いもの。
コンテンポラリーダンスを見ても、「なんかくねくねしてる」とか「なんか叫んだ!」くらいの感想だし、現代アートは「文房具屋の試し書きコーナーみたい」とか「ゴミかな?」としか、凡人には理解できない。
つまり、芸術である藍坊主の音楽も、僕にはその芸術的な美しさの上澄みしか味わえていないのであろう。それでもいいのだ。
たとえ上澄みだけだったとしても、藍坊主の曲が素晴らしいのは間違いない。
凡人の稚拙な言葉では表現できない、藍坊主。
たった5分17秒の芸術。
凡人ども、よく噛みしめて。
それでは。