【Song】サカナクション / 夜の踊り子【レビュー】
誰しもが絶賛する、とまでは言わないが、嫌いな奴がいないバンドってあると思う。
大御所のMr.children、若手で言えばSuchmos。嫌いというやつがいるとすれば、そいつは捻くれ者か、売れないバンドマンだろう。
で、その筆頭がサカナクションであると思う。
音楽好きから主婦まで、サカナクションが嫌いなやつを僕は見たことがない。
新しい曲を発表するたびに、驚きを与えてくるサカナクション。この曲も驚きに満ちている。
意味不明な曲構成
イントロ、一音目から印象的な透明感のあるシンセがなり、それに続けとばかりに軽快なドラムとベースがリズムを刻む。サカナクションはシンセに耳を持って行かれがちだけど、リズム隊が実にいい働きをする。
この曲の主役となるのはBa.草刈とDr.江島の二人。ベース音楽かよ、ってくらいこの曲は特にベースが気持ちいい。ベースだけでご飯三杯はいける。いや、無理だ、音楽じゃ飯は食えん。
そしてAメロではVo.山口が淡々と歌い、コーラスが徐々に楽曲のテンションを上げていく。
そして曲の核ともいえる、Bメロ。「どこへ行こう どこへ行こう~」から始まり、リスナーは「お、サビだな」と身構える。
だがしかし、テクニシャン山口は焦らす。サビが来るぞ来るぞと溜めておきながら、イントロのシンセに戻り、何事もなかったかのようにAメロに再度移行する。
そしてAメロから再びBメロになり、どう展開するんだろう、となったところで大爆発である。なんとサビがあったのだ。
そこからは、フラストレーションが一気に解放されたように、ラストまで一気に駆け抜け、リスナーの口があんぐりしている間に終わりを迎える。
聴き終わってみれば、なんと濃厚で濃密で濃縮された曲だろう。
どういう頭を持っていればあのような構成にするのだろうか。
A→B→サビ→A→B→サビ→C→サビなんていう構成であれば、ここまで印象に残る曲にはならなかったはずだ。
焦らす、という行為は恋愛においても有効で、焦らせば焦らすほどに期待感を高め、印象に残り、その先にあるものがより良いものだと感じる様になる。
同じものでも、誰かに与えられたものより、自らが苦労して得たものの方が価値のあるもののように感じるだろう。
この曲は5分くらいなんだけど、サビが来るまでになんと3分間も焦らし続ける。
3分あれば、メロコアなら1曲聞き終わるし、ウルトラマンは星に帰るし、ボルトだったら2kmくらいは走ってる。
そんな長い間焦らして、あのサビだ。脳が破壊された。合法ドラッグだよこれ。
印象的な繰り返す歌詞も、大脳あたりを刺激してくる。PVもわけわかんねぇ。トリップしてるみたいだ。頬こけすぎだし。ゆっくりこっち向くシーンホラーだし。
間違いない、山口一郎は変態だ。それか、薬物中毒者。普通の人間にこの曲は作れない。
これからも僕の脳を蕩けさせてくれサカナクション。
それでは。